シンガポールでテレビをつなぐ
Connecting TV in Singapore

ペク・ソンス Seongsoo Baeg

在外研究でシンガポールに来ている。一人暮らしを始めるにあたって、まずはすべての生活インフラの手続きが必要になる。その中の一つがテレビをつなげることである。私が借りた1LDKの部屋にはLGのテレビが備えてあるが、その中身は私が満たさなければならない。テレビを見るってことが単純に電源を入れて地上波をキャッチする意味ではなくなった今では、代理店を探すのが最初の一歩になる。私はシンガポール最大のテレ・コミュニケーション会社であるStarHubでテレビとインターネットと携帯電話の契約をいっぺんに済ませることにした。

テレビにサムソンのHD変換機をつなげた。このボックスは韓国の実家にあるものと同じである。あとはプログラムを選ばなければならない。シンガポールの5つのローカルチャンネルと、日本のNHKや韓国のArirangなどの15チャンネルはフリーで見れる。それ以外に、私は番組の特性によって7つのグループに分かれた有料のチャンネル群から3つのグループを選んだ。「ワールドニュース」「エンタテインメント」「チャイニーズエンタテインメント」の基本的なセットである。

チャンネルを一つずつ押してみる。シンガポールのローカルチャンネル以外は韓国や日本のスカパー番組と重なるものが多い。アメリカのニュースとドラマと娯楽番組である。少なくともこの3カ国はアメリカのテレビ番組を一緒に所有し消費し、その意味でつながっている。ほかはチャイニーズものと韓流がある。日本ではチャイニーズのものが常に少数派の嗜好であったし、韓流ブームはもう消滅したと言われているが、シンガポールではまだ韓国のドラマやK-POPが顕在であり、チャイニーズドラマ枠は増えていくばかりである。日本のものとしてはマンガとアニメーションが若者、特に男の子に強い人気を得ている。

週末の夜、同じの階のどこかの部屋からすごいボリュームで中国時代劇の音が聞こえてくる。剣が人を斬り、空間でぶつかり合う。掌風で物が飛ばされ、空から矢の雨が降る。中国語のセリフは理解できないが、私の頭ではその音だけで様々な場面が描かれる。明らかに私はチャイニーズドラマでシンガポール人とつながっている。同じドラマを見てきたその時間によって、言葉以外の映像の解き方を共有しているのである。

私はシンガポールのテレビ線を繋げることで、私たちがどんなに多くのテレビ文化を共有しているかを再認識した。その中でシンガポールのローカルなものを見つけて理解していくのが、これからの私の最大の楽しみである。